【読書感想】緑の石と猫(高橋順子)
心あたたまる話、不思議な話、どこかへおでかけしたくなる話…当代きっての文章家がおくる、10の物語。
大人の童話。
読んだ後ぱっと浮かんだキーワードだ。あの世とこの世の境界線が曖昧になり、現実感のある夢の中に身を潜めている感覚。霧の中を歩いているのに、耳元で誰かの声がするような。でも、決して怖いばかりではなく、心の芯はじんわり暖かくなるような、摩訶不思議な世界観だった。中には「え!?おわり!?・・・こわ!!」と思う物語もあったけど。
猫はほとんどの物語に登場する。
語りだしたらきりがない猫のかわいさではなく、少しミステリアスな雰囲気が物語のアクセントになっている。その様子はまるで、あの世とこの世を行き来しているかのようだ。「100万回生きたねこ (講談社の創作絵本)」なんて名作もあるくらいだから、何回か生き返っていたっておかしくないのかもしれない。なんて思う。
作者の方は詩人なのだそう。読み手との距離の取り方が絶妙だなと感じたのはそのせいだろうか。世界一周の船旅や巡礼については、ご本人も経験されているみたい(Wikipediaに書いてた)。
ここで我が家のねこさまをご覧ください。
西川くん!はい!はい!はいはいはい! pic.twitter.com/PtMNQ53wc0
— ayako kondo (@ayako______) March 29, 2016