【読書感想】悲しみの底で猫が教えてくれた大切なこと(瀧森古都)

 

悲しみの底で猫が教えてくれた大切なこと

悲しみの底で猫が教えてくれた大切なこと

 

 『ネコは、ごはんを何日食べなければ死にますか?』

とあるパチンコ店の前に置かれている一冊の「里親探しノート」に、そんな奇妙なことが書かれてあった。ただなんとなく生きている店員の五郎、現実逃避している常連客たち……。

この一冊のノートにより、それぞれの運命の歯車が動き出し、生きる意味と向き合うこととなる。

 

 4つの連作短編。パチンコ店の「里親探しノート」を中心に、物語は展開する。

 一癖も二癖もある登場人物たちは、辛い過去の経験から心に深い傷を負っている。明るく振舞っていても、“生きる意味”を問い続けていてーーまるで、真っ暗闇を歩いているように。

 そんな中、登場する猫が引き金となり、悲しみと向き合い、乗り越えていく様子が描かれている。

この世に産まれたことも奇跡。

今日を生きていることも奇跡。

 みんな自己肯定と、生きる活力を得て、ハッピーエンド。

 そう、やっぱり猫は偉大で、わたしたちに大切なことを教えてくれるんだ。

 

 著者の瀧森古都氏は、「奇跡体験!アンビリバボー!」なども手がけた元放送作家さんで、現在は「感動」をテーマとした小説や童話を執筆しているという。

 テレビという公器でお仕事をされていた影響か、よく言えばわかりやすい文章と物語だ。子どもにも読みやすい文章だと思う。が、悪く言えば「感動」というお涙頂戴の着地点ありきの物語で、消しゴムで消した跡から消しゴムのカスが出ないような違和感がある。

 人を「恨まない」と言葉で言い切れるほど人間単純じゃないし、もっと汚い部分や心の葛藤が描かれているほうが、わたしは感情移入できたかなあと感じた。

 読んだ人の9割が涙したそうですが、わたしは残り1割の人間でした・・・。真っ赤な血が通ってるはずやねんけどな。。おかしいな。。

 

 

ここで、我が家のねこさまをご覧ください。